臨床検査技師と臨床工学技士の違い
臨床検査技師と
臨床工学技士の違い
目次
仕事内容の違いについて
臨床検査技師は、病院などの医療機関で検査を専門に行う職業です。
臨床検査には大きく分けて2種類あります。患者の体から採取された血液や尿などを調べたり、組織片から標本を作り顕微鏡で細胞を調べる検体検査、心電図や脳波検査など直接患者の身体を調べる生体検査です。
他にも、検査に必要な採血も認められています。
医師でも検査をすることはできますが、医療機器の高度化や専門化が進む上で、医師は治療や診療に専念し、検査は臨床検査技師が行うというのが一般的になっています。
臨床工学技士は、生命維持管理装置の操作やメンテナンスを行う職業です。
取り扱う装置には、人工透析装置や人工心肺装置などがあります。
こういった装置は、少しでも誤った操作をすると患者の命に関わるため、責任をもって正確に操作しなければなりません。
医療機器は日々進歩し、高度化と複雑化が進んでいます。臨床工学技士は医療に不可欠な医療機器を扱うスペシャリストとして、欠かせない存在になっているのです。
大学入学の難易度の違いは?
臨床検査技師を目指す学部の偏差値は50台~60台が多く、臨床工学技士を目指す学部の偏差値は50台が多いです。
臨床検査技師を目指す学部のある大学の数は、国立と私立の割合に大きな差はありません。
しかし、臨床工学技士を目指す学部のある大学の数は、国立よりも私立の方が圧倒的に多いです。
短大入学の難易度の違いは?
臨床検査技師や臨床工学技士を目指す短大の偏差値は40台後半~50台が多く、偏差値に大きな違いはありません。
臨床工学技士を目指すための短大は数が少なくなってきているため、大学か専門学校で学ぶのが一般的となっています。
専門学校入学の難易度の違いは?
臨床検査技師を目指す専門学校の偏差値は40台後半~50台が多く、臨床工学技士を目指す専門学校の偏差値は40台が多いです。
どちらの資格にも言えることですが、専門学校は実習に力を入れていることが多いため卒業後は即戦力として働けること、就職サポートが手厚いこと等といったメリットがあります。
学費の違いについて
大学の学費の違いは?
臨床検査技師や臨床工学技士を目指す大学の学費に、大きな違いはありません。
国公立であれば250~300万円程度、私立では500~600万円程度の学費が必要です。
臨床工学技士を目指す大学は、ほとんどが私立大学になります。
短大の学費の違いは?
臨床検査技師や臨床工学技士を目指す短大の学費は300万円程度となっており、学費に大きな違いはありません。
臨床工学技士を目指す短大は数が少なくなってきているため、4年制の大学か専門学校で学ぶのが一般的です。
専門学校の学費の違いは?
臨床検査技師を目指す専門学校は250~350万円程度、臨床工学技士を目指す専門学校は350~400万円程度が必要です。
臨床検査技師や看護師といった医療系の国家資格を取得している人が、新たに臨床工学技士を目指す場合、1年制の専門学校に通うことも可能です。
この場合の学費は、130~140万円程度になります。
国家資格の難易度の違いは?
どちらも、年に1度の国家試験に合格することで資格を取得することができます。
臨床検査技師と臨床工学技士の国家試験合格率は、いずれも70~80%前後と大きな差はありません。
臨床検査技師も臨床工学技士も、大学は4年制で専門学校は3年制といったようにそれぞれ通う年数は同じなので、勉強時間に関しても大きな差はないようです。
国家試験は臨床検査技師が200問、臨床工学技士が180問でいずれもマークシート方式の筆記試験になります。午前の部と午後の部といったように1日かけて行われます。
いずれの試験も、問題の正答率が6割を越えれば合格です。
就職の難易度の違いは?
臨床検査技師の主な就職先は、病院や検査センターです。
医療機器の進歩により様々な検査が自動化され、医療機関での臨床検査技師の需要は今後少なくなるかもしれません。
しかし、臨床検査の中には自動化できない分野もあります。
これからは、臨床検査技師の資格にプラスして細胞検査士や超音波検査士といった資格を持つなど、より専門性の高い臨床検査技師が求められるようになるでしょう。
臨床工学技士の主な就職先は、病院や透析を専門にした医療機関が多いです。
高度化する医療現場では、医療機器の操作や管理業務がますます重要となり、そういった業務を専門に行う臨床工学技士のニーズは年々増加しています。
しかし、臨床工学技士制度は比較的新しい制度のため、他の医療職に比べると資格取得者数が少数です。
透析を専門にする病院など人手が足りていない医療機関は多くあるため、就職には困らないでしょう。
お給料の違いは?
臨床検査技師の新卒の初任給は、平均して20万円前後です。
さらに夜勤のある病院や検査センターに就職した場合は、夜勤手当がつきます。
また、臨床検査技師の資格手当や、超音波検査士や細胞検査士などの認定資格手当などがつく施設もあります。
新卒の臨床検査技師からベテラン臨床検査技師までの平均年収は470万円前後です。
臨床工学技士の新卒の初任給は、17~20万円前後で、新卒の臨床工学技士からベテラン臨床工学技士までの平均年収は470万円前後と、臨床検査技師と大きな差はありません。
また、透析業務を行う際には透析手当がつく施設もあり、その場合はもう少し年収が高くなるようです。
どちらが残業がない?
病院勤務の場合、臨床検査技師も臨床工学技士も日中に働くというのが基本です。
病院の規模によっては、どちらの資格も当番制で夜間の当直や休日出勤があります。
臨床検査技師の場合、業務時間外の検査は当番者に引き継がれることが多いため、残業は少なめです。
臨床検査技師で24時間稼働の検査センターに勤めた場合、夜勤を含むシフト制で勤務するため、生活が不規則になりがちです。また、検体量が多い日には残業することもあります。
臨床工学技士の場合、緊急手術が入ったり急患の患者が運ばれてきた時は、日勤のシフトであってもそのまま業務を延長することが多いです。
夜間当直がない施設では、業務時間外に機器のトラブルや緊急手術が入った場合、帰宅後でも呼び出されるケースがあります。
結論
臨床検査技師と臨床工学技士の比較表 | ||
---|---|---|
|
臨床検査技師 |
臨床工学技士 |
入学難易度
|
大学)偏差値50台~60台 短大)偏差値40後半~50台 専門学校)偏差値40台後半~50台 |
大学)偏差値50台 短大)- 専門学校)偏差値40台 |
学費
|
国公立大学)250~300万円程度 私立大学)500~600万円 短大)300万円程度 専門学校)250~350万円程度 |
国公立大学)250~300万円程度 私立大学)500~600万円 短大) - 専門学校)350~400万円程度 |
国家試験難易度
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合格率:70~80% | 合格率:70~80% |
就職難易度
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今後、臨床検査技師の需要が少なくなり、厳しくなる可能性あり | まだ新しい資格なので、人が足りておらず、就職には困らない可能性が高い |
お給料
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新卒の平均初任給)20万円前後 臨床検査技師全体の平均年収)470万円前後 |
新卒の平均初任給)17~20万円前後 臨床工学技士全体の平均年収)470万円前後 |
残業
|
残業:ある場合が多い 夜勤:勤務先によってはあり |
残業:ある場合が多い 夜勤:勤務先によってはあり |
臨床検査技師も臨床工学技士も、資格取得のし易さや給与に大きな違いはありません。
残業に関しては、勤務する場所にもよりますが臨床工学技士の方が多めの傾向にあるようです。
臨床検査技師が担当する臨床検査には様々な種類があり、業務内容や扱う検査機器は多岐にわたります。
患者からは見えにくい裏方の職業ではありますが、自分も医療を支える一員であるという責任感を強く持つことができる人に向いている職業です。
臨床工学技士の主な業務である医療機器の操作や安全管理は、少しのミスでも患者の命に関わる場合があります。
常に緊張感を持ち、冷静に業務を遂行できる能力がある人に向いている職業です。
どちらの資格も、これから新しい技術や医療機器が続々と生まれることが予想されるため、知識欲が旺盛で勉強熱心な人に向いている職業であると言えます。
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