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失業手当のお話

2025年9月18日更新

本日は失業手当についてのお話です。

転職のお打ち合わせの中で「いったん退職して失業手当を受けてから次を探したい」とおっしゃる方がいますが、制度の仕組みを正しく理解せずに行動すると意図した結果にならない場合があるため、注意点と基本的な仕組みをわかりやすくご案内します。

失業手当とは

  • 正式名:雇用保険の「基本手当」(一般に「失業保険」「失業手当」と呼ばれる)
  • 目的:失業中の生活の安定と再就職の支援(求職中の収入補填、職業相談・職業訓練等の提供)


主な受給要件

  • 雇用保険の被保険者期間があること(一般に直近2年間で通算12か月以上が目安。条件や例外があります)
  • ハローワークに求職の申し込みをし、就職する意思・能力があると認められること


受給の流れ

  • 1)離職票など必要書類を受け取ってハローワークで求職の申込み
  • 2)失業認定(初回説明会、7日間の待期期間の後、認定日に求職活動の確認)
  • 3)以後、定期的(通常4週間ごと)に認定を受け、条件を満たせば支給される


受給額

  • 基本手当日額は「離職前6か月の賃金日額の平均」に給付率を掛けて算出(給付率は年齢や賃金水準で異なり、おおむね50〜80%程度が目安)
  • 金額の上限下限あり
  • 例:24歳/勤続2年/自己都合による退職/月給25万円/支給期間90日の場合
    総受給見込み金額 45万円前後(=ひと月15万円)
    ※個々人で変わるため、ご自身の具体的な受給額はハローワーク等で確認してください


支給期間(所定給付日数)

  • 年齢、離職理由(自己都合か会社都合か)、被保険者期間等で決まる
  • 一般的に会社都合の方が給付日数が長く、自己都合退職には原則として給付制限(約3か月)が付くことがある


失業手当を受給するメリット

  • 収入が途切れた状況でも生活費の補助になり、金銭的な不安が軽減される


失業手当受給時の落とし穴

  • 支給額は離職前の賃金の一部しかなく、生活維持に十分でないことがある
  • 支給は期間限定(所定給付日数があり、延長は限定的)
  • 自己都合退職だと給付制限があり、即時に受給できない場合がある(原則3か月)
  • 例:退職日:1月1日
    待期:1月2日〜1月8日(7日)(申請は速やかに行ったと仮定)
    給付制限(自己都合、原則3か月):1月9日〜4月8日(この期間は支給なし)
    支給開始:4月9日以降
  • 失業手当を満額受給することを目的とすると離職期間がかなり長期になり、転職活動でマイナスな影響を与える(自己都合による退職の場合、給付制限3か月+給付期間3か月=6か月の離職)
  • 手続きや認定(定期的なハローワーク訪問、求職活動の記録等)が必要で手間がかかる
  • 条件を満たさない場合は受給できない(例:被保険者期間が短い等)
  • 健康保険の資格喪失や年金、住民税、退職金等の影響も出る(健康保険は任意継続や国民健康保険への切替を検討する必要がある)

つまり、意図的に離職期間(失業期間)を作って受給を目的とするのは好ましくありません。
職歴に「ブランク(空白期間)」が生じ、スキルダウンに繋がるだけではなく、採用時に不利になる可能性もありますし、将来、怪我や病気などで本当に失業手当が必要になったときに受給できないリスクもあります。
(離職期間を繰り返したり、被保険者期間が短くなると、受給要件(被保険者期間)を満たせません)

昨今SNSでフランクに紹介されることの多い国からの手当関連ですが、きちんと細かいルールが定まっており、リスクもあります。耳障りの良い情報を鵜呑みにせず、しっかりと調べてから、行動に移すようにしましょう。



以上、ご参考になれば幸いです。

気になることがありましたら、弊社のキャリアコンサルタントまでご相談ください。

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このブログを書いたM.A.

プロフィール

臨床検査技師の国家資格を取得後、治験コーディネーター(CRC)として2年間勤務し、臨床検査技師JOB専任コンサルタントへ。
医療機関以外にも、治験関連施設など企業系の転職支援も行う。

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