医療機関で働く臨床検査技師
医療機関で働く
臨床検査技師

コンサル
2024年度の調査によると7万人以上の技師さんが活躍されています
全体の7割以上の技師さんが病院・クリニック・健診施設で就業。
病院やクリニック、といっても地域の中で病院が担う役割や診療科によって仕事内容・働き方が異なりますので、情報収集にお役立てください。
もくじ
医療機関とは

病院
※急性期、慢性期など病床によって複数機能を有している場合がありますが、現在は最も多くの割合を占める患者に相当する機能=病院が有する機能として報告されています。
病院の役割別に見る
慢性期・回復期病院

こんな方におすすめ
- 日勤帯のみで働きたい
- 比較的ゆったりとした流れの中で仕事を行いたい
- 長期療養をされている患者様メインで携わりたい
急性期病院

こんな方におすすめ
- 様々な症例が見られる環境で臨床の経験を積みたい
- 専門性を高めるよりもまずは検体・生理機能と幅広く検査に従事したい
高度急性期病院

こんな方におすすめ
- 臨床の最前線で検査に携わりたい
- 生理機能検査、検体検査、病理など専門性を高めたい
- 学会発表や勉強会への参加、認定取得に取り組みたい
臨床検査技師が医療機関で担当する検査

検体検査
検体検査は、血液、尿、便、膵液、胆汁、胸水、腹水、ろ液、穿刺液などの検体を用いて行われる検査です。
病院は、目的や規模に応じて大きく1~3次救急レベルに分かれます。これから検査技師を目指される方の中では、初めて知る方もいらっしゃるかと思いますので、知ってるよ!という方はオサライとしてお付き合いください。
1次救急レベル
1次救急レベルとは開業医や休日夜間急患(急病)センターなどの小規模病院、療養型病院、精神病院が該当します。かぜによる高熱や家庭では処置できない切り傷といった症状を診察治療を行い、初期救急とも呼ばれています。
2次救急レベル
2次救急レベルは24時間体制で手術ができる設備を備えた病院、一般的には300~500床規模の救急指定病院を指します。入院や手術を必要とする患者が対象となります。
3次救急レベル
3次救急レベルは、500床規模以上の3次救急を請け負う大規模病院や救命救急センターとなります。生命に危険が及ぶような重症・重篤患者への対応を担う役割があります。
病院で働く臨床検査技師の実態は、厚生労働省調査によると、一般病床100床につき3.7人の臨床検査技師が配置されている統計がでています。かといって10倍の1000床規模の大学病院で10倍の37人近い臨床検査技師が働いているかというと、そうではなく、実際は20人前後と100床あたり約2名ほどで全ての臨床検査業務をこなしています。
検査が少ない精神病院などになると、100床に対して0.4人の臨床検査技師しかいない状況です。
規模によって変わる働き方の違い
1次救急レベルの病院ですと、生理機能検査の仕事割合が多く、2、3次救急レベルの中・大規模病院ですと検体検査担当と生理機能検査が分業となる為、配属先の部署により専門的に携わることが多いです。
比較的規模の大きい病院では、入院患者の突発的な症状があらわれる場合や、救急患者が運ばれる場合も想定され、ある程度の検査は院内で行う必要があります。病院毎に患者の人数、患者の病状など多種多様であり、救急患者も運ばれてくる為、大至急の検査が重なる事もあれば、新患の対応で業務量が一気に増えることになるケースもあり、柔軟な対応力が求められます。
その為、同時に幾つもの作業をこなす必要がある為、検査機器の精度があがっているとはいえ、豊富な経験と知識に裏付けられた臨床検査技師の人的能力に頼るところは非常に大きい状況が続ており、臨床検査の知識と経験以外にも患者さんへの対応力や仕事の効率よくこなす応用力も求められます。
検体検査業務についてですが、100床規模以下の1次救急レベルの病院や療養病院、精神病院であれば、検体検査の大部分を外部の検査センターに委託しているケースが多いため、小規模病院で検体検査業務を行っているところは稀です。しかし、2次、3次救急レベルの病院になると、生体検査部門と検体検査部門の担当が分かれる為、配属部署の検査に専念するケースが多く、このレベルの病院であれば、病院内で検体検査を行う機会が良くあります。
生理機能検査ですが、超音波検査(エコー)の中でも特に腹部エコーについては、健診の基本的な検査項目となっていることもあり、幅広い病院で実施しています。
2. 検査技師の病院業務の「やりがい」や「苦労する点」とは
病院業務のやりがい
検査で異常を発見して医師の診断の手助けができた時、医療への貢献を実感できるため、そこに大きなやりがいを感じる方が多いです。また、その後の患者様の様態についても経過を観察する事が出来る為、検査によって早期発見、早期治療につながった際には目に見えるやりがいを感じる事が出来ます。
また、医師や他のコメディカルの方々との協力関係が必要な仕事ですので、良好な関係を築く事により、幅広い経験と知識を身に付ける事ができるのも、病院勤務ならではのやりがいだと言えます。
病院業務の苦労する点
その反面、人の命に関わる仕事である以上間違いが許されないという点が大変苦労する点です。これは医療に関わる医師、医療技術者・コメディカルスタッフ全員に言える事かもしれません。
例えば、血球の状態を観察する検査の場合、状態を見間違えたら医師の誤診を引き起こすことに繋がりかねません。腹部エコーで癌を見落としてしまったら・・・人の命と密接であるがうえ、やりがいもありますが心労が多いのもまた事実です。
3. 病院勤務に向いている人の傾向や適性について
臨床検査技師は、科学的・客観的な根拠となるデータを様々な検査機器を駆使して集め、医師による病名特定の支援を行う仕事です。まずは働く場所に限らず検査技師として必要な素養を3点ほどご紹介致します。
病院勤務に必要な要素
①科学的確かな目でものごとを観察する姿勢
検体検査のうち血液検査を例にとると、採血した血液に試薬を加えて凝固を目視で確認するといったように、科学的な目で観察する業務を遂行する力が求められます。
②使命感と責任感
そして、人の命に関わっていることを深く理解し、異常を絶対に見逃さない!という「使命感と責任感」が同時に求められます。
③探究心
さらには、検査結果から導き出される病名を推測するためには、数多くの病気の特徴を知る必要があるため、日々新しい知識を蓄積していく探究心も必須と言えるでしょう。終業後に勉強会に参加するなど、姿勢がとても大事です。
病院勤務に必要な適正
①臨機応変に対応できること
病院では、患者がいつ何人来るのかはわかりません。検査中に急患が割り込み、作業の優先順位が急きょ変更になったり、同時に複数の検査を並行して行うこともあります。
それらを臨機応変に、正確に素早くさばける対応力が病院で働く検査技師には求められます。
②人(患者)と接することを苦にしない
腹部エコーなどの生理機能検査では、患者の体に直接触れたりする機会があります。検査に不慣れな患者に対して不安にさせないように気を配り、会話で場を和ませたりすることが自然とできる方は、病院勤務に向いています。
また、現在では『チーム医療』のもと、医師のみならず、看護師、診療放射線技師、臨床工学技士など他のコメディカル職との連携をしながらチーム全体で患者を診る、という流れになっており他メンバーと協調していく姿勢(協調性)が求められます。
実際に入職した人に聞いてみた!やりがい
Iさん
2次救急病院で生理機能検査(肺機能・心電図、採血、内視鏡介助)を担当

10代~80代の方と幅広い年齢層の方を対象に検査を行っている中で、他の方がとれなかった採血を一回で終えることができた際に患者さんからもお礼を言われたり、緊張していたけどリラックスできたわと褒められることがやりがいです!
Hさん
訪問診療クリニックで生理機能検査、採血、診療介助、運転業務を担当

患者さんやご家族と他愛もない話ができるのもそうですが、事前に想定して準備をしたことで訪問がスムーズにいき、先生から褒めていただけたことはとても嬉しかったです。
Tさん
慢性期病院で検体検査、生理機能検査を担当

病院の特性として日々の業務は比較的落ち着いていますが、急な検査依頼などで臨機応変に動けたときはこれまでの経験が活かせたなと感じます。なるべく残業が発生しないように工夫して業務スケジュールを立てて進められるのも自分に合っています。