知っておくべき給与の話
知っておくべき
給与相場
社会人として働き始めてしばらくの間は分からない事ばかりで仕事どころではないかもしれません。職場の上司や先輩の顔と名前はすぐに覚えられても、他部署の方々や取引先の企業、担当者名など、業務に関係する方々を全員把握するだけでも時間がかかります。まずは仕事を覚える前に、新しい環境に慣れる事が先決ですね。
慌ただしくスタートした新社会人生活の中で最も嬉しい出来事は最初に支給される給料、いわゆる初任給ではないでしょうか。嬉しさと共に、自分の働いた対価としていただいた初任給は社会人として働き始めた実感を強く感じる瞬間かもしれません。
その初任給ですが、税金や社会保険料などが給与から天引きされている事は知っていると思いますが、実際の金額を目にすると、思ったよりも給与が少ないと感じられるかもしれません。
中途採用の転職支援を行っていると、自分の給与がいくら支給されていて、何がいくら引かれているのか知らない方も多いです。しかし、ご自身の大切な給与ですので、せめて給与明細に書かれている内容については理解しておいた方が良いでしょう。
皆さんのお手元に届くであろう「給与明細書」を見ながら、このページを見ていただくと、より理解度が深まると思います。
支給項目
基本給
その名の通り基本となる給与です。基本給の中でも、更に年齢給、役職給、資格給、職能給などと区分されている場合もあります。
固定手当
手当は各社様々ですが、臨床検査技師の場合は資格手当というのがついているのが一般的です。その他に皆勤手当、職務手当、役職手当、家族手当、住宅手当など様々な手当があり、手当を支給される要件を満たしたタイミングで支給される事になります。
通勤手当
固定手当の一部ではありますが、給与とは少し性質が違ってきます。一般的には会社の規定に基づき、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月定期代のいずれかを支給される事が多いです。月額10万円までは非課税となります。
変動手当
残業代がこれに該当しますが、臨床検査技師の場合、夜勤が発生する場合もあります。通常の残業代の他、夜勤の当直、オンコール手当も変動手当に該当します。
控除項目
社会保険料
給与明細書には「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」の内訳と共に控除額が記載されていると思います。
健康保険料
病気やけが、またはそれによる休業、出産や死亡といった事態に備える公的な医療保険制度です。正社員(常勤)としての採用であれば、給与の支払と共に控除される事となります。非常勤でも下記に該当すれば、給与から控除される事となります。
- 2ヵ月を超えて雇用される見込み
- 週の所定労働時間が正社員の4分の3以上
- 1ヵ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
従業員501人以上の事業所においては、1年以上の雇用見込み、1週間の所定労働時間20時間以上など、更に要件が緩和されております。2022年10月からは、従業員101人以上も対象になるなど範囲が拡大されております。
厚生年金保険料
老後もしくは障害・死亡の際に給付する、老齢・障害・遺族厚生年金の財源とするための保険料です。厚生年金の加入要件は、健康保険と同様です。正社員(常勤)としての採用であれば、給与の支払と共に控除される事となります。
雇用保険料
一般的に「失業保険」と言われる保険です。失業者の他に、育児・介護休業をとった労働者や、60歳以上で企業勤めしている一部の労働者に給付するための財源となる保険料です。
週の労働時間20時間以上・31日以上の雇用見込みを満たす方が、雇用保険の対象者となりますので、学生時代のアルバイト代から控除されていた方も多いのではないでしょうか。
介護保険料
新入社員の方には当分控除されない項目ですが、「介護保険料」というのがあります。こちらは40歳に達した月から控除が開始される事となります。介護施設や自宅で介護サービスを受ける際の費用を、一部肩代わりするための財源となる保険料です。
所得税
所得税とは、給与から所得控除を引いた金額に対して、一定の税率で課される税金です。毎月、給与明細の控除の欄で給与から差し引かれています。
住民税
お住まいの都道府県や市区町村に対して納付する税金です。前年度の収入から計算され、毎年6月~翌年5月に毎月、給与から天引きされます。その為、新入社員の方の場合、前年度の収入が無い方が多い為、一般的にはこの欄は空欄になっているかと思います。実質的に給与から天引きされるのは、入社2年目の6月からになります。
年末調整について
耳慣れない言葉かもしれませんが、「年末調整」とは、毎月の給料から天引きされている所得税を再計算し、納税額を調整する制度です。なぜ年末調整を行わなければならないのかというと、本来、所得税は年間の給与総額に基づいて計算されます。その為、毎月、給料から天引きされている所得税は、本来納めるべき年間の所得税額と異なるからです。
例えば、生命保険や地震保険に加入しているとその分給与額が控除されたり、年内に結婚やお子様が生まれたり扶養家族が増えると、その分調整が必要になります。そこで、1年間に支払われた給料の総額が確定する12月に、その年に納めるべき税額を正しく計算し、毎月の納税額との過不足額を納める、または返してもらう手続きが必要になります。これが年末調整です。
過不足を調整した所属税が12月の給与に反映される為、いつもの月に比べて給与が増えたり減ったりします。思った以上に税金が返ってくることもあり、毎年、年末調整が楽しみだったりします。